2015-01-01から1年間の記事一覧

解 決

家の前が 落葉だらけだって? いいさ 風が掃除してくれる苦い記憶が 頭から離れないって? いいさ 時間が和らげてくれるあいつから いくら待っても 返事が来ないって?いいさ 仲間が慰めてくれる……その一人に なれたらいいけど

ラリー

君からのボールを タイミング良く打ち返すでも戻って来たボールは 僕の頭上を越えて はるか後方を転々ようやく追いつき 力任せに打ったボールは 大きく横に逸れて 君もあきれ顔何だかどうも リズムに乗れないねしかも日に日に フォームも崩れて ズレが大きく…

きょうだい

あなたとよく似た男の人どこがっていうより 全体的な雰囲気が もうあなたそのものまぁ それもそのはずだね あの子はあなたの弟だからもっと 気軽に接したいんだけど 何だかすごく 意識してしまって……だってそうだよ そのうちあの子は 私の弟になるかも知れな…

コモンセンス

かつて地球は 宇宙の中心であると 信じられていたかつて人間は 万物の霊長だと 信じられていたかつて宇宙は ビッグバンから始まったと 信じられていたかつて…… 二人の愛は 永遠に続くと 信じられていた固く 信じられていた……

セイリング

風に吹かれて生きていく 風に流されて生きていく それが この身に最もよく似合うでも時には 風を受け止めなければならない 立ち向かわなければならない なんてこともあるけれど高度なタッキングなんて できるはずもなく 覚えたてのジャイビングも まだ自信に…

新発見

えーと ドシャ降りの梅雨の午後 それから 海まで泳ぎに行った夏の日そうそう秋には ウォータースライダーで びっしょりだったね他にもあったかな 水びたしになったことは……そして今 こうして共に迎える冬それなりに見慣れているはずの 濡れた髪の君だっての…

レコード

ターンテーブルにそっと置き 静かに針を下ろす 少し傷の入ったレコードにぎやかな曲が始まり やがて かすかに覚えのあるメロディさらに再生は続き 懐かしく甘い歌声が 頭の割れそうなノイズへと一変 やがてヒーリングが流れるも 聴けるのは途中まで……さて こ…

不出来

「こら、そんな口の利き方があるか」やれやれ 偉そうなセリフと一丁前な態度 加えて 身勝手な振る舞いと無愛想な顔つい怒ってしまったけど また随分と 生意気になってしまったものだ一人で大人になった そんな気でいるみたいだけど お前を育てるのは ほんと…

誤 算

雨が降り出したから いつ立とう 雨が降り出したから 予定をどう変えよう雨が降り出したから どう時間をつぶそう雨が降り出したから……急に崩れた空に 君がバッグから取り出した 一本の折りたたみ傘雨が降り出したから どこを寄り添って歩こう 外れた天気予報…

夜更けのハグ

不意に思い出す かつて一度だけ 遊びに誘ったあの子 その大切な一日は 緊張しながらも 楽しく会話したのに 結局告白には至らなくて もしあの時 想いを伝えていたなら 今ごろは肩を並べて 同じ星を指さしていた…… のかも知れないな 大人になった彼女は今 きっ…

秋空の中で

手を伸ばせば すぐ届きそうだったのに 過ぎゆく時間の中で 遠い存在になってしまったとても明るくて まぶしいばかりだったのに 移ろう季節の中で 冷たささえ感じるようになったそして気がつけば うろこ雲からの陽にたたずむ ひとつの長い影できることなら ま…

シャッターチャンス

下校のチャイムが鳴り響く 土手に見つけたカリンの姿それと……何だ、デン子か いや、ある意味チャンス!「そこの二人、写真を撮ってやるよ」 と 半ば強引に あるいは説得して二枚の撮影に成功だ「見せてよ」と言ってきたのは 案の定デン子の方で 「まあまあね…

荷 物

大きな荷物が 背中にズシンとのし掛かるまったく とんだ安請け合いだったな ためらいはしたんだけどおかげで息はゼーゼー 汗はダラダラで おまけに 胃まで痛くなってきたよ今さらだけど 少しでいいからリュックの中身 誰か取り出して……それがダメなら 誰か支…

アルバム

あっ、あれは 遠い昔に感動した本あっ、あれは 遠い昔に無くした玩具あっ、あれは 遠い昔に遊んだ広場あっ、あれは 遠い昔につまずいた道……閉じた瞼の中に サラサラ流れる風に乗って 思い出が次々と運ばれてくるそれは 秋の夜長の まどろみのアルバム

体育祭

「知ってる? また組体操で子供がケガだって」 「あぁ、らしいな」 「これでまた反対意見が たくさん出るんでしょうね」 「あぁ、だろうな」 「体操ってものでもないし 無くした方がいいのかもね」いや、そうじゃなくて 廃止してほしいのは 体育祭自体なのさ…

ホームサイト

この景色は お気に入りの場所ぼんやりしながら 物思いにふけった場所あまりの心地良さに うたた寝してしまった場所誰にも内緒で 静かに涙を流した場所……この景色は 思い出の溢れる場所いつの日か 君と眺めたかった場所

夢と現実

子供のころ 飛びついて登りたかったあの枝は 今では軽々と手が届く だけど 折れるかも知れないし 手を擦りむくかも知れないし 何より服が汚れるし だからきっと登らない 子供のころ かぶりつきたかったあの菓子は 今ではポンと買える額 だけど 口に合わない…

汚 点

覚えているかな 誰より不器用だった こんな自分を覚えているかな 誰より非力だった あの時の私を覚えているかな 誰より間抜けだった 情けない姿をキミはまだ 覚えているかな……できることなら 忘れてほしいんだけどなきれいサッパリと

ゲット

「あっ、100円が落ちてる」 「ホントだー! よく分かったわね」 「下ばかり向いて歩いてるからな」 「ダメよ、しっかり前を向いてなきゃ」 「ヘヘヘ、そうだな」……って返事はしたものの 今さらやめられないさうつむいて歩くのは ガキの頃からずっとだし おか…

ダイアリー

終わりの近づいた夏休み 残りは日記だけとなり 軽快に自転車を走らせたのは 君と約束した昼下がりのプール でも まるで貸切みたいだったのに 浮き輪を忘れた君は サイドに座りっぱなしだったね そんな君に 水をぶっかけて笑い合い 泳げない君に特訓! みたい…

じゃれ合い

つむじ風の中を 元気に踊る葉っぱのように 青い大気の中 君と追いかけっこでも ハンパない速さだなしかも 追っていたはずが ここ最近は 追われることの方が多いぞ! などと思う今日この頃……なんて はたから見れば どっちでもいいことだろうけど

声 援

戦っている君に 「ガンバレ」なんて つらくてとても言えないだからといって 「大丈夫だよ」と励ましたら リラックスできるんだろうかただ能天気な奴と 思われるだけかも知れず…… さてどうしようあれこれ悩みながら つい口にしそうになった 胸の奥の秘かな思…

リベロ

まただ……背中から聞こえる ヒソヒソ話と 鼻で笑う声痛っ! 知らん顔してたら 丸めたゴミが後頭部を直撃…… 結構な距離なのに 何てコントロールだよでも落ち着け! 目を閉じて深呼吸! 「あと一年 もう一年の辛抱でいいんだ」何とかなるさ反撃はできないけれど…

ローンチ

一体何度めだろうな この浜から舟を出すのは出ては戻り また少し出ては戻り そんな繰り返しで 航海らしい航海は ずっとできなかったけどでも今度こそは これが最後の出帆と そう心に誓う磁石も海図も無いけれど ひたすら沖へ進んで 新しい潮を見つけるのさ君…

水中花

せせらぎの中で 涼しげに揺れる人灼熱の太陽を 物ともせず うねりが来ても 決して流されないその存在を 知る人だけが知り その魅力に 気づく人だけが気づく君は水中花 僕が見つけた華

ミート

外人さんが 何か話しかけてくる「※▼◎%△ミート☆℃◆」ホ……ホワット?「★∞≒◇$ショーユー▽@#」へー 初対面だってのに よっぽどなんだなよっしゃ 「レッツゴー・トゥ・スーパー!」「No!!!!」何だ 腹が減ってるんじゃないのか

旋 回

このままじゃダメだ 進めば進むほど 時間がムダに過ぎるだけ突っ走っても 何も変わることはなく かと言って 引き返すこともできないだから 大きく舵を切って ルートを変更し そして目標も 大きく変えようまだ燃料が 充分あるうちに

修 理

人の部屋に 勝手に上がりこんできた君は 土足で歩き回り 散らかし放題で出て行った 残された僕は 懸命に体を支え 涙をこらえながら 何とか元の部屋に戻した だけど もうあれから だいぶ経つのに いや 何年も過ぎたから 直した所から順にほころんで いつまで…

Vトレイン

Vトレインが 風を切って突き進む 時折立ち止まりながら 長いレールを駆け抜ける降り注ぐ日差しに ずっと満たされていたけど 今は長いトンネルの中そして明けては闇 また明けては闇 そして闇の先に光 また闇の向こうに光Vトレインが 広い大地を突き進むさあ…

結婚記念日

順調な交際の後 正式にプロポーズ そして結婚式を挙げて 幸せな生活を送るなんて理想とは裏腹に 長すぎた春の後 改まったプロポーズはおろか 挙式さえもなかったけれどでも やっぱり君で良かったと そう思うよ二人のささやかな生活しか 思い浮かばなかったの…