2014-01-01から1年間の記事一覧

北 颪

北おろしの中で思い出す 年が終わるように 颯と消えてしまった君 あれから何度目かの クリスマスだけど 風邪ひいてないかな 雪で転んでいないかな 暖かく幸せに やっているかな…… いやまさか 「ありっこないだろうなぁ」自己中で高慢で 君には振り回されっ放…

落ちこぼれ

落ちこぼれって 近ごろ耳にしないけど 放送禁止用語にでもなったのかなこの言葉を聞く度に 自分のことだと いつも思ったもんだが……「いや、君は全然 落ちこぼれなんかじゃないよ」おっ、そうか?「落ちたんじゃなくて 元々こぼれてる存在だろ」あぁ、確かに…

生命力

誰かが笑った 「格好つけるな」と誰かが叫んだ 「それでも人間か」と誰かがののしった 「お前なんかが」と誰かが泣いた 「あんたのせいで」とそんなふうに いろんな連中に囲まれながら まだ自分は生きている……あいにくね

同 罪

選挙カーが騒々しく 街を走り回り 候補者は声を張り上げて 新たな政策をまくし立てるけど できっこないことは 有権者より候補者本人が よく解っているはずでも仕方ないよな 勢いがなきゃ落ちちまうし……「言ってみたら?」笑いながら君は言うけど まぁやめて…

雪どけ

猫はぼんやり薄目をあけて 部屋の様子を眺めてる犬はぼんやり薄目をあけて 外の様子を眺めてる僕はぼんやり薄目をあけて 君の様子を眺めてるでも 君はまだ凍ってる……雪どけはまだかな初雪も降りそうにないほど 外はいい天気だけど

華 奢

この姿を見て 綺麗だと言ってくれる人がいるうっとり眺めてくれる人や 写真に残す人もいるそんな自分だけど 本当はとてももろい存在どうか 風よ吹かないで 波よ立たないで崩れる様を 面白がらないで……穏やかの中でしか 生きることができない名前は水鏡

トップニュース

「11月も終わりね」 「そうだな」 「今年一番の思い出は?」突然の問いかけに 僕はとっさに歌い出す「ありのままに〜 はちの〜パパに〜♪」 「やだ、サイテー」そう怒りながら笑う 君と出会えたことが 本当はトップニュースさ何だか照れくさくて 話題まで変え…

Love in November

久しぶりの山の小径を 少し速いリズムで歩く変わったものは 木々の紅と厚手の上着 そして 隣で笑う君の表情足取りが軽いのも 下り坂のせいだけじゃない街へ出て行く君の顔は 夏だというのに とても曇っていたけど これからはもう ずっと快晴だからね季節はNo…

スーブニール

今年も引っ張り出した 少しシワの入った冬用コート突き刺す朝の冷たさに ポケットに手を突っ込めば 指先に触れる微かな紙片ん? あぁ何だ 捨てそびれてた 春物ワンピースのレシートかそうそう 君によく似合ったから サイフをはたいて買ったんだ風に揺れるフ…

大 人

あー 何て胸くそ悪い日なんだ 全て放り投げて帰りたいあー 何て旨そうな柿なんだ 勝手にもいで食べたいあー 何て悲しいドラマなんだ 声を張り上げて泣きたいいられない……いつまでも 大人じゃいられない

ハレーション

潮風が心地よい 忘れじの渚優しいさざ波と 何度も戯れ 流れのままに 深く深く おぼれていったこのままずっと 包まれていたかったけど やがて気がつけば 浜辺に一人きり今ではすっかり 足跡も消えてしまった 誰も知らない 遠い夏のハレーション

ルフラン

涼しいお日様に誘われた 一年ぶりの公園「もしもしトモくん? おばちゃんだけど お母さんいる?」 「……いらない」乾いた風に漂う着信音と 元気な子供たちの姿に そんな小話が重なるそういえば 自分もそんなふうに 思ったことがあったかなあるいは親も 同じ道…

郷 愁

深まる秋と共に つのるノスタルジアその理由は すぐ側に聞こえる キジバトのせいか 汗さえ爽快な 紅葉風のせいかそれとも あの人と別れた季節だからか……明確な答えが 必要なわけじゃなく ただこの 木立のタイムトンネルを抜けて 早く帰りたいだけ変わらない…

相 思

なぜだか知りたい? それは こんな顔でも 微笑んでくれたからなぜだか知りたい? それは こんな姿でも 抱きしめてくれたからなぜだか知りたい? それは つまらない話でも うなずいてくれたからなぜだか知りたい? それは ありのままを 受け入れてくれたから…

充 電

頼むから しばらくの間 しゃがみ込ませてて誰かが言ったのさ 転ぶのは失敗じゃなく 立ち上がらないのが失敗なんだと……だから もう少し座らせてて 今はまだ 失敗したままでいいパワーを付けるまで このままで 放っといておくれ

探しもの

僕が探してたものは 何だろう見つけたかったものは 何だろうそう考えながら 視界に入った せわしなく動く君を ぼんやり眺める君の探しものは 見つかったかい? 僕は何とか ようやく手に入れたよそしてこれが 君の探しものと 同じだといいんだけどな

終 焉

もう会えない……君がやっと口にした言葉を 僕は笑い飛ばしてしまったからもう会えない君が書いたせっかくの文を 僕は破ってしまったからもう会えない君が大切にしていたものを 僕は捨ててしまったからもう会えない君が考えたやり直しの案を 僕は受け入れなか…

イノセンス

初恋……?なんだ「初心」か とんだ読み間違えに 思わず苦笑い初恋なんて もう昔の話なのになでもいまだに鮮烈な ただ単純に とにかく好きだったことそんな子供時代に また口元が緩む 人前なのに困った自分さだけど 初心忘れるべからず 素敵なことかもねピュア…

ヒット

「なかなかヒットが出ないわね」「……だな 何しろピッチャーは去年 新人賞を獲った男だしそれに…… 最近も負け知らずだから 簡単には打ち崩せないだろうな」「そうね 今日も伸び伸びと 投げてる感じがする」ふぅ…… やっぱり野球の話だったんだな やれやれ良か…

財 産

生まれたことを悔やんだ時には 背広の中にカネが溢れてた……と頭をよぎる いつか聞いた歌の一節まずそんなことは 夢のまた夢にすぎずだけど 誕生した後悔の向こう岸には 命ある悦びに笑う そんな自分が映って長いスパンでの不幸と幸福の バランスの良さを知る…

滑 走

「あっ! しまった」あらら、つい 口が滑ってしまったなでもおかげで すごいことが聞けたよ そうだったのか 知らなかったなぁいやしかし 口は災いの元…… 十分に気をつけて滑っていいのは スノボとスケートとあとは…… 猫が爪に引っかける 障子ぐらいだからね

ラベンダー

開花したかと思ったら もうお嫁に行ってしまった 君はとても早咲きだけど その魅力を知らないまま 少女の時を過ごしていたから または遅咲きの花真っすぐな瞳と 甘いパーフュームで いつも清爽な風を届けてくれた僕が内緒で呼んでいる そんな君の あだ名はラ…

浅 薄

「ねぇ おおやけのヤケって どう書くんだっけ」 「ゴホッ!」 危うく吹き出すとこだった アツアツの中華丼 「モグモグ……多分 やけ酒のヤケだろ」 「えーっ? 分かんない」 うーん…… そういやこの前は 承るの「たまわる」の部分を 尋ねてきたっけ でも憎めな…

Rainy Days

また降り始めた 止んだはずの雨やっと上がったと そう思ったのに 一体いつまで続くのかお願いだから もう苦しめないで これ以上は……外はこんなにも 晴れてるんだから

置き去り

暗くなるまで よく二人で遊んでいた 幼なじみの僕らまだあどけない君は 普通に可愛かったけど 恋とか好きとか 特に意識することもなく……でも急に 行動を共にしなくなった その理由は君だけが 大人になって行き 僕は取り残されたような そんな気がしたからさ…

強がり

上を向いて行こう 視界から空を 消さないために上を向いて行こう 胸いっぱいに 酸素を流し込むために上を向いて行こう 先の給水地点を いち早く捉えるためにでも 倒れる時には 下を向いて崩れよう……と そうも思うのさこぼれた涙が すぐ砂に吸収されて 誰にも…

真 意

やぁ君 コーヒーでもどう?懐かしくて 昔話に花が咲くね君も好きな人がいたの? 俺も好きだった女子がいた可愛くて優しくて イジったら面白かった ガキの頃の大切な思い出さいや 誰?って聞かないで 自分だけの秘密だから……正直 照れくさいよ 今さら言えない…

熟 視

その大きな瞳で 何を見ているの?その澄んだ瞳に 何を映しているの?これからもずっと いろんなものが 目に飛び込んでくるけれど華やかな世界や あこがれの舞台を眺めながら いつもしっかりと まぶたを開いておいて……目をそむけたくても 見続けなきゃならな…

レイニーデイ

そぼ降る雨にかがみ込み 十分過ぎる水滴の重圧に じっと耐え続ける思わず傘を放り投げて どこかへ逃げ出したくなるけれど 走り回るほど 無駄に濡れるばかりだから もう少し我慢しようやがて 雲の隙間から虹が見える こともあるだろうから……でもいつか 傘も長…

今日までずっと 歩き続けてきた道とても細く 危なっかしい吊り橋や 崖っぷちの時もあったけど 歩き続けてきたそんなある日 横からの道と合流して 幅が倍に広がった……そうか ここからは二人分の道一緒に倒木をどかしたり 穴を埋めながら歩くんだ上り道もある…