財 産

生まれたことを悔やんだ時には
背広の中にカネが溢れてた……

と頭をよぎる
いつか聞いた歌の一節

まずそんなことは
夢のまた夢にすぎず

だけど
誕生した後悔の向こう岸には
命ある悦びに笑う
そんな自分が映って

長いスパンでの不幸と幸福の
バランスの良さを知る

その開悟は大切な宝物

あるいは
ポケットに詰まった札束よりも
幾倍も価値のある富