「ねぇ、何か食べる?」
「ぶっちぎりパン」
「えー? 何それー!」
「俺にふさわしいネーミングさ」
と笑った車窓の先には
ちぎったパンのような
いくつもの雲がひしめく
でも
その一つ一つを数えられる
こんなノンビリ旅も
たまにはいいもんだな
追っ手をぶっちぎって
先端を突っ走るのは爽快だけど
やがて疲れてしまうし
早い奴には好きに抜かせて
自分はマイペースで行くのもアリ
結局ゴールは同じさ……
なんてことが思えるのは
少しは心に
余裕ができたんだろうか
そんな思いと共に
バスは雲を横目に進む
パンをつまみ合いながら
同じに揺れる二人を乗せて