記憶の片隅

素朴なベンチに腰掛けて
ぼんやり眺めるデパートの一角

そこにはかつて
いつもの待ち合わせの
小さな喫茶店があり

少し遅れて来た君は
腕を下げたまま
お腹の辺りで
控えめに手を振ってくれる

その仕草が好きだから
先に僕は店に着き
ケータイ片手に君を待っていた

やがて季節は変わり
君との付き合いが終わって
いつしか店も
無くなってしまったけれど

柔らかなBGMの下
今でも鮮明に思い出す
大好きだった君と

君を見つめる
その先のガラスに映った
3年前の僕の顔