2016-01-01から1年間の記事一覧

小さな足跡

ひとり風と向き合って 震える指で詩を綴る 大いなる自然への 畏怖の念を抱いてひとり空と向き合って 憧れに揺れる詩を綴る 翼を持たない生き物の 羨望の魂に乗せてひとり闇と向き合って 願いを込めた詩を綴る 星から降りる梯子に 希望の光を預けてひとり自分…

おマヌケ

「あらっ? あのお店って ここじゃなかったっけ」 「何回来てるんだよ もう一つ先を曲がったとこさ」「えーっ変! スマホが無いよぉ」 「カバンじゃなくてさ ほら机の上に置いてあるじゃん」いやー数々の君のドジには あきれを通り越して 惚れぼれさえしてし…

リミッター

激しくなじられ 侮辱されたけど 外さなかったリミッターひどく罵られ 憤慨したけど 外さなかったリミッターだから……良かったみんなの胸懐は スッキリしただろうし もし外してしまったら 私が私でなくなってしまう

出発点

今日もまた 改札を抜けて 四方に散って行く人々彼らは駆け足 あいつはゆっくりとたどり着いた先で 目をこらし 時に疲弊しながら 新しい自分を探すけどやがて戻って来るのは 朝に降りた駅 あるいはせいぜい 少しおしゃれな隣の駅舎そして皆 また明日になれば …

言付け

君に話したかったことが たくさんあるよ髪型を変えたこと モカが仔犬を産んだこと試験に受かったこと 新しいシャツを買ったこと今日も元気に生きていること……君に話したかったことが たくさんあるよ声も手紙も メールも届かない 遠い世界へ旅立った君に

懺 悔

草よ 花よ 木々よ お願いだから虫よ 鳥よ 動物たちよ 耐えられないから君よ 貴方よ 全ての人よ 私を許し給え生まれてきたことを こんなに悔いているから

立 春

冷たい雲の間から そっと舞い降りる やわらかな光こごえる手の平を ふんわり包み込む しなやかな温もり暗い胸の奥が ほのかに照らされる 暖かな灯りそんな存在さ今度の週末 久しぶりに会えるキミは

冥途の土産

生涯必ず見ておきたいもの?そうだな 白夜とオーロラ ナイアガラの滝と グレートバリアリーフ……「まあ妥当なところね」うん 平凡っちゃ平凡かでも実はもう一つ 見ておきたいものがあるんだけど 口には出せないよあいつが 苦しみもがいて死んでいくところ だ…

フヘン

目的もないまま 歩き続けて時には走って たまに転んで今日はうつ伏せ 昨日はあお向けそんな私を いつも見ていた普遍の空そんな私が いつも見ていた不変の空どこまでも広く どこまでも切なく……

静電気

バチッ!! 「きゃっ!」「痛っ!」すれ違い際に 二人の腕に走った静電気無理もないか…… 細い路地なのに お互い速度も緩めず スタスタ歩くんだから別れてまだ一週間 なのに こんな所でバッタリ謝ろうか 何か話しかけようかと 一瞬のうちに あれこれ迷ったけど…

大 臣

「ねえパパ どうして大臣のこと 相って書くの?」 「不思議だね 何でだと思う?」「うーん…… 細長く書いたら 相って文字に見えるからかな」 「なるほど そうだと面白いね」もちろん理由は違うけど 今はこのまま その奇抜な発想を褒めよういつか答えは 自ら突…

キミがついた嘘を 机の上に並べてみるこれはバレバレな嘘 これとこれは 止むを得ない嘘そしてこれは 最近になって分かった嘘……残念だなキミが去って行かなければ 嘘だと知ることはなかったのに

小さな花

この目に映る 小さな花見過ごすところだったけど この目に留まった小さな花あれがあったおかげで 見つけることができたよ良かった 本当に良かったいや もしかしたら 必然だったのかなたまたまじゃなくて

生きる糧

今日の帰り あの人に会えるかな今夜はどこで 何を食べようかな……そんな私に 誰かの言葉が聞こえる「目先のことしか考えてないね」いいんだ……ずっと先を思い描いても 楽しみなど何もないけど目の前に幾つかの 小さな幸せがあるだけで

シャボン玉

小さなシャボン玉たちが フワフワと踊ってる舞い上がるものや キョロキョロしてるのもいて みんな気ぜわしそうだそこに訪れた 風向きという名の 大きな流れに押されて 一斉に 同じ方へ突き動かされていくいや応なしに……だけど 君と合体して 一回り大きくなっ…

溜め息

さて 君がついた溜め息には どんな意味があったんだろう睡眠不足のせい? 退屈だから? あるいは 怒っているのか?困ったなぁ……その すねたような君の顔が 僕は結構好きだから

ゾンビ

重い蓋をして 深い場所に埋めたのに どうして出てくるんだグルグル巻きにして 動けなくしたのに なぜまた現れるんだ忘れ去りたくても 勝手に這い上がってきて とどめを刺したくても そのスキさえ無いのならこのゾンビ達と 何とか付き合っていく方法を 模索す…

杢 糸

僕は単純 かつ単調な男 だから誰もが すぐに飽きてしまうそんな僕を その豊かな彩りに絡ませて 少しずつ変えてくれた君まるで 枯れた街路樹が イルミネーションの輝きで 息を吹き返したかのように……大好きさとても暖かい 君が編んでくれる冬