感 涙

綺麗なドレスをまとったお前が
伏し目がちに読み上げる
私たちへのメッセージ

そこによみがえる
無数の思い出は眩しく
そして切なくて
つい涙が流れてしまったよ

娘の前でだけは
絶対に泣かぬよう
固く誓っていたのにな

いつまでも俺は
少なくともお前にとっては
強い存在でなければならなかったし
そうあり続けたから……

ただ正直言うと
実は二度目の涙なのさ
決して口にしなかっただけで

そう
ひょっとすると
こんな調子だと
三度目の涙があるかも知れない

やがて生まれて来る孫の
まるで天使のような寝顔を
目の当たりにした時には

あの時の如く……