2016-10-11 オーバーラップ 誰もいないはずの教室を 何かに誘われるように ゆっくりと開けるすると そこにあったのは 逆光に眩しい君の微笑み「え、どしたの?」そう聞いてきたけど 尋ねたかったのは僕の方で 「何でもない」と どうにか一言を絞り出し ランドセルを揺らしながら 僕はその場を後にした体中が熱くなったのは 息切れのせいだけじゃなかったはずの 二十年近くも前になる そんな記憶を呼び起こしながら逆光の窓辺に揺れて 子供をあやす君を見つめる「え、どしたの?」あ……いや 「何でもない」