森のセミを捕まえたくて
じいちゃんに
虫採り網をせがんだ僕
でも手渡されたのは
円を作った太い針金に
何かの袋を縫い付け
それを竹棒に刺したお手製の品
遊び仲間からの
哀れそうな視線に負けた僕は
わざと乱暴に扱って
すぐ壊してしまったんだったな
次の日から
田舎での短い夏休みは
ほとんどゲームで過ごした
ほろ苦い
子供の頃の思い出さ
でもそのおかげで
良かったことが二つ
無駄に虫の命を奪わずに済んだのと
そしてもう一つは
廃品から創生する工夫が
今も続いていることだよ
ただ彼女には……
「部屋の変な部品って
片付くことはないの?」と
いつも呆れられているけどね