ヴラニカ

母に手を引かれた
土けむりの道

その彼方に建つのは
いつも夜遅くまで遊んだ
祖母ヴラニカの家

久しぶりの訪問だけど
かつてのように
笑顔で迎えてくれるかな

曲がり始めた腰で
息を切らし
幼い僕を追いかけていた貴女を
今日は一人
心からねぎらいたいのさ

そして
途中から道をそれ
小高い丘に着いた僕は
そっと帽子を脱ぐ

Veronica……
ありがとう
どうかゆっくり休んで

刻まれた名前の上を
静かに流れる雲影のように