視界不良

高いビルから見下ろすと
住み慣れた街も
とても新鮮な眺めなのに

悪天候のせいで
思い出探しも
記憶の焼付けも中途半端

今日去るこの街を
もっとはっきり
見ておきたかったのに

ただ
晴れていたところで
一体どれだけの
景色が見れただろうか

目の前を潤すのは
ガラスを叩く雨だけじゃなくて……

さよなら
愛しい人が暮らす街