山茶花

大寒の到来

セーターから首を出せば
見渡す限りの茶褐色と
それに溶け込む
黒ずくめの人々

海は荒れて
雲は明かりを覆い
一人たたずむこの肩を
小刻みに揺する

ただ
彩りを添えるのは
可憐に開いた
さざんかの花だけ

「ゴメンね遅れて」
「いや、大丈夫だよ」

荒涼な景を鮮やかに変える
真冬のさざんか