「土曜の午後 仕事で
車を走らせていた――」
ラジオに流れるポップスは
昔よく口ずさんだメロディ……
いっそこのまま
ハンドルを大きく切って
見知らぬ夜明けへ旅立とうか
生きていくのに必要な
最低限のディスクはあるし
あるいはこのまま
あの光の向こうに
突っ込んでしまおうか
幸か不幸か
失うものは何もないし
そんなことを
いつも考えていた男……
あれから何度も
雪が溶けたのに
あれから何度も
アクセルが闇をすり抜けたのに
いつまで経っても
満たされることのない
永遠のワイルドハート
いつか自由になれる日を
当てもなく夢見るばかりの……