夢物語

落葉の季節
クラスが違うのに
友達になれた可愛い君

たまに会えた時間には
積もる話題で盛り上がっていた

そして
クリスマスが迫った放課後
無邪気に笑いながら君は
「あなたが一番好き」と言ってくれたけど

なのに僕は
「何だよ“E組の中ではね”って条件は」と
少しすねただけだった

何であの時
「俺も“この学校の中では”お前が
一番好きだよ」ぐらい
言えなかったのかな

年が明けて
あまり話もできないまま
卒業式を迎えることになるとは
しかもそこで
君の姿を見かけないなんて
思いもしなかったからね

甘い思い出と後悔の念が
切なく胸に絡みついたまま
やがて手にした卒業生名簿

何度も何度も
君のクラスを指でなぞったけれど
いくら探しても
その名前は見つからず

君の音沙汰を確かめるすべも無く
ただ途方に暮れたままに月日は過ぎ
いつしか窓の外に揺れていた
暖かさを取り戻しつつある空と
遠くかすみゆく記憶

あれは
この世に絶望していた僕へ
北風が運んでくれた
幻だったんだろうか

猛吹雪も厳寒も
今ではすっかり懐かしい
ささやかな夢物語……
だったのかも知れない