腕時計

いつしか
無くしてしまった腕時計

跡さえすっかり
消えてしまったのに
つい見てしまう左腕

手に入れたばかりの頃は
飽きずに眺めていたのに
慣れてくると
磨きもしなくなり

やがて気がつけば
他の男の腕へと
消えてしまっていた

新しく替えるにも
気に入ったものはなく
ただ白く
細いだけの腕を枕に
ひとり眠るだけ

時の面影を
胸に刻みながら